なぜ「境」を重んじるのか
器物と空間の関係は、単なる置物ではありません。法器が家に入るとき、まずその位置を定め、次にその向きを定め、そして人の心が落ち着いてまいります。これが「境」の由来です。
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古人が器物を論じるとき、しばしば「器」と「境」の二層に分けます。器とは形・素材・工芸であり、測ることができ、考証もできます。境とは、器物が空間に入ったのち、光・方位・人の心と相互に生み出す関係であり、測ることはできませんが、感じることはできます。
禅風水韻の蔵品は、その形・素材・寸法を記録として残しております。その境につきましては、安置される方が住まいの格局と用途に応じてお考えいただくほかありません。ゆえに記録と並んでお問い合わせの道を残しております。同じ器物でも、広間に置くのと書斎に置くのとでは、宜しきところが異なります。
「一器一境」は誇張の言葉ではなく、ひとつの仕事の作法です。一点ずつを明確にご説明できてこそ、その先の話が成り立ちます。